突然ですが、ここでクイズを出させていただきます。
以下は通信キャリアである３社（ドコモ・au・ソフトバンク）の2021年度のBSを表しています。
これを見てあなたは、どれがどの会社か答えることはできるでしょうか？また、何故そのように考えたのかを説明できるでしょうか？

上記の答えですが、以下の通りとなります。
　A社：ソフトバンク　B社：ドコモ　C社：au
これについて、私なりの解説をさせて頂きますと、ソフトバンクは右上（灰色・黒）の負債、つまり借入金の割合が多く、アグレッシブな経営を行っていることが分かります。その逆にドコモは右下の純資産の割合が多く、安全に経営を行っていることが分かります。
このように、BSを見るだけでその会社の文化や姿勢が見えるようになることが、真に財務諸表を読めているということだと私は考えています。

今や誰もが知っている世界的な企業AMAZONの業績をご存知でしょうか？イメージで言えば、「さぞかし莫大な利益を出し続けているんだろう？」と思われがちですが、利益を大きく出してきたのは最近のことで、以前は”ギリギリ営業黒字”という状態でした。
それはなぜかと言うと、システム投資・物流センターへの投資・データセンターへの投資などを積極的に行っているからです。一般的な考え方では、「利益が少ない≠優良企業」という図式になってしまうかと思います（金融機関であれば貸し渋りをしてしまうのではないでしょうか？）。ですが、AMAZONはこれで良いのです。なぜなら、利益が少ない要因は「次の成長への投資」だからです。加えて、単年度利益が少ないことにより、納税額は少なく抑えることができます。
ちなみに利益があまり出ていないAMAZONですが、CFは潤沢に生み出しています。これはAMAZONのビジネスモデルが大きく影響しています。AMAZONは、顧客からの入金はすぐ行われるのに対し、サプライヤーへの支払いはある程度の日数がかかります。このように「入金は早く・出金は遅く」というビジネスモデルにより、CFは潤沢なものとなるのです。

このように見てきたことで、BS・PL・CF全てが絡み合って、会社の業績を表していることがお分かり頂けたかと思います。単純にPLを見ただけで、低利益であれば優良企業ではない、と考えてしまっていた人もいるかと思いますが、この記事が考えることの一助になれば幸いです。
最後に、私が考える良い企業とはどんな企業か？ということですが、「環境変化に対応し続けられる企業」だと考えています。これまで財務諸表について話してきたのに、いきなり突拍子もないことを申し上げてしまいますが、正直なところ、一地点の財務諸表だけを見ても良い企業かは分かりません。
ダーウィンの進化論ではないですが、「強い者、賢い者が生き残るのではない。変化できる者が生き残るのだ。」ということが企業でも当てはまるのではないでしょうか？